藤川球児

阪神歴代最多となる243セーブの記録を持つ最強ストッパー。

「火の玉ストレート」と名づけられた剛速球を武器に長らく阪神の守護神として活躍。その右腕から放たれたファストボールは規格外の回転数で、打者の手元でボール数個分ホップすると言われた。

最終回、藤川の入場曲「every little thing every precious thing（リンドバーグ）」が流れると甲子園の雰囲気が一変。登場するだけで、どんなピンチであろうと何とかしてくれる空気が甲子園に広がった。その存在感は阪神歴代抑えの中でも圧倒的なものだった。

強烈な偏食家で「知らない香りの食べ物は口に運ばない」というこだわりの持ち主。好物は安兵衛の餃子（地元高知の屋台餃子）。

5年目に才能開花

1998年、ドラフト1位で高知商から入団。当初は主に先発として起用されたが結果は出せず。トレード候補として名前が挙がる戦力外寸前の選手だった。

同期の松坂大輔（西武）、上原浩治（巨人）、福留孝介（中日）らが大活躍する中、一軍に定着できぬまま数年を過ごした。

その後、岡田彰布監督の元で中継ぎ、抑えに転向。この配置転換により一気にブレイク。入団5年目にして才能開花した遅咲きの右腕は、その後、長らく阪神の守護神として活躍、日本を代表するストッパーにまで成長した。

引退時、「僕のストレートは阪神ファンの思いが詰まっているからバットに当たるはずがない。そう思っていつも投げていました」と話し、全関西人を泣き殺した。

解説時の話しぶりから、かなりの理論派であることが分かる。

話始めると止まらないところがあり、一人悦に入り理詰めの解説を展開した時にはSNSが荒れたことも。ただ、的確な解説にはファンも多く、監督就任で話が聞けなくなることを残念がる声もよく耳にする。

よく言えば弁が立つが、その裏返しで、話が長い、クドい、と感じることも。このあたりが選手に対してどうなるか。岡田前監督のようなマスコミを通しての遠回りなものではなく、直接的な対話があることを期待し見守りたい。