矢野燿大

中日で7年間プレイ。1997年オフに交換トレード*で阪神へ。

阪神移籍1年目から正捕手として活躍。シーズン打率3割を4度記録するなど打てるキャッチャーで、2003年、2005年のリーグ優勝に攻守で大きく貢献した。

乱闘になると豹変する熱い性格。特攻隊長のように一番にベンチを飛び出し、ジャンピングニーパットを振舞う球界一のジャンピングニーパッターとして名を馳せた。

コーチ時代にはキレて大暴れする外国人（ヤクルト・バレンティン）に恐れることなく向かっていった。その無謀ともいえる行動は大きな話題となり、多くの野球ファンから「矢野は本物」と一目置かれるようになった。

この乱闘のきっかけは藤浪晋太郎が畠山に放った頭部死球。落ち着いた矢野は「晋太郎を守る」ための行為だったとコメント。「あのジャンピングニーは藤浪のためやったんか」と関西人は胸を熱くした。

2019年から4年間、阪神の監督を務めた。

読書家で、自己啓発本、起業家の著書などを愛読。試合前に選手の活躍予想を書く「予祝」、シーズン前から「自分が考える日本シリーズ優勝の瞬間を語る」、などスピリチュアルな一面を持つ。監督就任後にこの事を知り、ざわつくファンも少なくなかった。

ただ、シーズンが始まると常に上位をキープ。否定的だったファンも「矢野野球は明るうてええなあ」と手に平を返していった。「虎メダル」「矢野ガッツ」などのパフォーマンスも叩かれることなく人気要素として定着。金本前監督で荒れた雰囲気のチームは生まれ変わっていった。

そんな矢野阪神の4年間は、リーグ優勝はないものの、2位が2回、3位が2回と安定した成績を残した。（1970年以降、複数年、監督をしてBクラスがないのは矢野監督だけ）

ただ、4年目シーズンがあまりに酷く、それまでの評価は一変。シーズン前の退任宣言、開幕9連敗、ミーティングで自己啓発セミナー、色紙事件・・・。

チーム成績が落ち込めば落ち込むほど、救いを求めたのか、スピリチュアル化が加速。連日、スポーツ紙の記事を緊張しながら読む日々だった。